2013年11月23日土曜日

海辺の未来会議。

北海道大学大学院環境科学院で行われた、
石狩海岸フォーラム-石狩海岸 海辺の未来会議-に参加してきました。

小樽市銭函から石狩市厚田区望来までの延長約25kmにまたがる石狩海岸。
↑ クリックして拡大

(画像は「いしかり海辺ファンクラブ」さんのサイトより借用させて頂きました)

先日、興味があって、
支笏湖西部の小漁山を源とし、豊平峡・定山渓・簾米(みすまい)・札幌市街を経て石狩川に注ぐ、
全長72kmの豊平川を、真駒内から東雁来まで辿り、
豊平川が合流した石狩川が、やがて、石狩湾に注いでいたのを確認した。

石狩川河口の砂嘴の上にできた「はまなすの丘公園」は約46ヘクタールあり、
ヴィジター・センターから海岸に出る道のりが、かなり長く感じられた。


その木道も途中で途絶え、やがて砂と草の道となった。
その道は、都市近郊では日本中探しても石狩浜だけだという、自然堤防だった。

なんてスケールの大きい場所なんだろう、と実際に歩いて思った場所が、
このような自然の緩衝帯が無く、コンクリートの防波堤が続く、
我が故郷である苫小牧方面の海岸よりも、
より人間と自然との付き合いの在り方として理想とすべきなのではないか、
というようなことを北大大学院農学研究院講師の松島先生が石狩海岸の紹介の際に仰られていて、
本当にそう思うと同時に謙虚な気持ちになった。

あの美しい千葉県の九十九里浜も、付近の崖の侵食を止める為の護岸工事や、
漁港の工事などの影響で砂が流れ着かなくなり、
失われつつあるナーバスな砂丘の代わりとして、海岸林が植えられた。

故郷むかわ町の鵡川河口部には、かつて30haを超える干潟が存在していたが、
漁港建設や砂利採取などが行われた為に土砂収支バランスが変化し、
昭和53年からの20年間に約400mも海岸が侵食され、
渡り鳥が飛来し、種々の生命が育まれ、水質浄化し、自然の緩衝帯等々の機能をもった、
むかわの干潟は減少してしまった。

このような「退廃化」が日本全国で進行している・・・。

『石狩海岸の魅力とは、そのような取り返しのつかない状態では無い、原始の自然の残る海だ、
と気づいたと同時に、問題点も色々と見えてきた。

埋め込み画像への固定リンク
手稲山からの眺望。石狩海岸、自然砂丘、海岸林と層を成しているのが上空から確認できる。

石狩湾の湾奥に大型の船舶が接岸できるようにと石狩湾新港ができて、
銭函の侵食をもたらした。
ビーチ利用客のゴミの不法投棄の問題や、バギー車などの車による植生の破壊、
水の事故、海岸漂流漂着物の増大とそれによる生態系の破壊など。
これらのような現状を喰い止める手立てが無いからといって、黙って見過ごすのではなく、
『後世に残したい自然』は、わたしの中ではやはり、手付かずの自然だ。
商業施設や観光地では無い。

道央部に縦に連なる夕張山地や日高連峰から西、支笏洞爺国立公園から東に位置する、
石狩低地帯には、「マクンベツ湿原」という低層湿原が約130haに渡って広がっている。
海岸近いため風衝地であり、石狩川からの流入もあるマクンベツ湿原はつまり、
南は豊平川の流れから、東西の山々、北からの風など、周囲の自然環境の影響の集積する所で、
植生を見ると、ヨシクラスやミズバショウ・ハンノキなど多用な植物が育っている状況は、
長い年月をかけこのような湿原になり、これからも同じように、何かになっていくのだろう、
それは生きているということだろう、と思わせる。

石狩海岸も、未来永劫そのようになっていくのだろう、何かに。
そんなことを期待できる場所であって欲しい、いや、そのような場所が欲しいと思った。

そんな私たちが、『これからすべき取り組み』とはなんだろう。

ワールド・カフェでは、上記『 』内に書いた3テーマについて話し合いを行ったけれど、
「他地域の海岸のゴミ拾いをしても札幌に持ち帰ってと言われる」とか、
結局は規制したり法律を設けないと石狩海岸の自然は守られないんじゃないか、
というなかなか後ろ向きの発言が多く聞こえた。

埋め込み画像への固定リンク

そんな声が聞こえてかどうか、「石狩ウォーターパトロール」の坂口さんが、

当団体は、

事故の生まない環境を創造することと、
海を通じて様々なことを学ぶアクティビティをつくること。

というような事をやっている。
今後も、後ろ向きな側面を捉えるのではなくて、この海岸の可能性を考えたい、
というようなことを仰られた。

わたしも今年は山、川、湿原と様々なフィールド・アクティビティを計画してきたが、
フィールドを通じて様々なことを学ぶ事が楽しい。
フィールドを学ぶために参加した会議で、可能性を考えたいという強い言葉に出会えて本当に良かった。

それにしても、わたしのアクティビティが、未来を良くする為の活動にできるだなんて、
今まで考えたことがなかった。

今日出会ったみなさんに、どうすれば良いかご意見を聴かせてもらいたいと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿