2014年6月11日水曜日

夏山訓練と雪山遭難の話

藻岩山登山ももう3度目となった。初めはスキーコースの夏道の見学のつもりが、いつの間にかトレーニングが主目的になってしまった。トレーニングと言っても辛く厳しいばかりでは無い。今は登るのにそれ程負荷をかけていないし、無理をして走って下山し転倒の恐怖を感じることも無い。クマ目撃情報のあった馬の背〜T6分岐には興味はあるが近づかないようにしている。では何が辛いかと言われれば、色々な誘惑がある中で、これでいいんだと自分に言い気かせることと、地道な作業を何度も繰り返して行うことが辛い。ここには東に西に未踏の山を登り歩く華やかさが無い。まるで日曜の早朝から寺の地下にこもって無心を貫く、禅のようでもある。
めちゃくちゃ言っているが楽しみもある。繰り返し行うことにより、自分のレベルアップが実感できることや、老若男女多くの人との挨拶が楽しいこと。そして今日は、山頂のベンチで仰向けになって休憩する気持ち良さを見つけた。結局はゴロゴロするのが好きなのか。
今日は帽子を被って55分位で山頂に到着、いつもより火照った気がした。先日と同じく2往復した。朝、菓子パンを食べてしまい胃が不快なまま登山を続けたが気持ちは完全燃焼した。



午後からは沢靴と脚絆とハーネスを見つけに行く。脚絆を見つけたサッポロファクトリーのグラビティーリサーチでは沢用の靴下も勧められ試着したがまだ沢に入ったことが無いし、沢の中では無いのでなんとも判断できなかった。本日見つけたものを室内で試す機会が無いのが不安と言えば不安だが、実際に沢に入るのが楽しみで仕方がない。

夜はかでる2.7で山岳レスキュー研究会というのがあり参加してきた。本日の研究会は主に山仲間の方々が行方不明者の捜索活動にあたられた事例を報告するという形式で、その山仲間というのがHYMLというメーリングリストの会だ。私も入っているのでおおよそのことはMLで流れきていたので知っていたが、現場で指揮をとられた方が本日の報告者で、ご本人からお話を伺いたいと思い参加した。

・遭難された方は単独で道南の雪山を縦走中だった。
・ご親族が行方不明になっていることに気づいてから警察による捜索が入ったが、悪天候に阻まれ中止となった。
・雪解けを待って捜索を再開するらしかった。
・HYMLのSさんがMLで捜索協力者を募り、道警からは自主的捜索活動の許可が降りた。
・警察には捜索計画書を提出した。
・捜索活動の為の手がかり探し、稜線へのルート工作、稜線上の地形や積雪状況、電波状況や雪崩・危険箇所の把握等を目的として捜索協力者による捜索隊が結成された。
・行方不明になったご本人と面識の無い方も捜索に協力した。
・捜索はリーダーのもと、非常に整然と行われた。
・警察と自主的捜索隊の間には信頼関係があった。
・危険箇所ではゾンデリングを実施。
・隊としては2回4日間、Sさん個人としてそれ以上捜索したが、見つからなかった。
・雪解けが進み道警の捜索が再開され、遺体となって発見された。
・今となっては憶測でしか無いが、想定外の事態が重なり、雪崩でも遭難でもなく、体力尽きて眠るように亡くなったのでは無いかとのことだった。


改めて、今、私はどうして好き好んで雪山にゆくのだろう、辛いトレーニングをしてまでわざわざ山奥の源頭部から山頂を目指さねばならないのだろうと考えるのだが、「すべての山は未だ見ぬ山に通ず」でとにかく目の前の課題をクリアした途端次のステージが待っているのが嬉しいのだ。訓練しなければ上がれないし、訓練を続けるためには生活をデザインしてゆかなければならない。ものぐさな私でもいつの間にか行動する人に駆り立ててゆく構造が登山にはあるのなら、私もなるべく人の為に行動する人でありたいとも思う。

1 件のコメント:

  1. yamapoさん ブログ少しずつ見ています・・・。
    この講演会には私も参加する予定でいました。公演しているsakagさんは
    HYMLの大先輩、入会にも何かとお世話になり山も何度か同行している
    岳友です。遭難したSさんとは面識がありませんが、微力ながら捜索隊に
    加わって2日間山に登りました。発見された場所は予想外のところでした。
    心よりご冥福を祈り合掌しました。

    夕張ヒュッテの屋根の雪下しも見ました・・・。
    初の山スキーなのに6時間も歩き続け凄いですね。
    旧山小屋の時には私もよく参加していたんですよ。

    これからもブログ更新を楽しみにしています。

    返信削除