2016年9月22日木曜日

ウンコはごちそう

先日、夕張時代からお世話になっているエコビレッジ(※1)講座に久しぶりに参加してきた。

この日のテーマは、
「ウンコは地球の宝物〜糞土師の糞土教師」。
講師は糞土師の伊沢正名さん。

私は伊沢正名さんのことを知らなかったし、この講座の案内を受けて事前にインターネットで調べたところによると、「約40年間野糞を続けている」怪しい人、というイメージしかなかった。

講座は午前午後に分けられており、午前中は座学だった。


このように、スライドを観ながらの楽しいお話。

伊沢さんは元々、菌類のカメラマンだったそうで、
スライドはどれも美しいキノコや実験内容が分かりやすい写真ばかり。
 
伊沢さんの『カビ図鑑』を持ってきている人もいて、色とりどりの、万華鏡のような美しいカビがいっぱい。
手の常在菌を身近な食べ物で培養した記録写真とか、テーマも面白い。
こんな誰も見ないような世界を何十年も見続けてきた人の話は、
やはりとっても面白かった。

メインとなるのは、野糞がどういう過程を経て土に還るかという話。
(実験に使われている野糞っていうのは、ご想像の通り、伊沢さんの野糞なんですけど) 

ウンコの臭いの成分「スカトール」は、香料にも使われているだとか、
ウンコは高いコストを払って焼却処分されるけれども、土に還せば他の生き物の食物になるという話だとか、
昔ウンコは肥料として使われていて、現在も肥料として使っても法的には問題は無いけれど、
品質表示の問題があるから(いつどこで誰が生産したウンコかを表示するのが難しい)、
流通しないんだという話だとかを聞いた。
 
午後は、フィールドワーク。
実際に、一週間前に仕込まれたエコビレッジの裏山の野糞を掘り返しての観察。


講師の伊沢さんと、覚えたばかりの知識をもって、ウンコに釘付けになる人々。

上の写真は、笹の葉でお尻を傷めずに拭くコツを解説しているところ。
ひょうたんの葉、山ぶどうの葉、よもぎなんかが気持ち良く、エコビレッジの畑にあったマシュマーロゥの葉っぱは「糞土師評価」で4.5の高得点!
私も実際にお尻で試してみたくなりました。


これは、白腐れした樹の中で縄張り争いをしている菌を観察しているところです。
野山でいかにして死物化(動物の糞だけではなく、枯葉や倒木など)した有機物が分解されていくのかを見ています。

伊沢さんのお話を聞いているうちに、私は知らず知らずのうちに、
生き物として当たり前の生態系の循環の輪から大きくかけ離れたところで、
そうした生き物としての本質的なことから目を背け、忌み嫌い、
無駄な知識ばかり増やして喜んでいることに気づきました。

先日、鶴居村の自然ガイドの友達と環境省の「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書を読む会」、に参加してきたのですが、こうした生き物としての人間の在り方という視点無くして環境の知識のみが膨らんでいくESD教育の在り方には疑問を覚えましたし、こうした視点無くして環境問題は語れないなと思いました。
 
良識ある人たちからは、ウンコの話など興味ない、異端なものとされている現状。
しかし、「良識派」ほどウンコの循環過程等知らない、頭のかたい人たちなんじゃないかと心の中で思いつつ、
圧倒的少数派として、これからも密かに学びを深めていきたいと思います。
 
伊沢さんも仰っていました、
「批判は在り難い。批判なくして成長なし。」と。
伊沢さんは研究・追及心に溢れる、人生の先生のようでもありました。
 
そのような人との出会いに感謝しつつ・・・、
夜勤明けだからと入れてくれた炭酸水、
始祖ジュースと手作りケーキ、
お昼の具だくさんスープ、
食用ほおずきの実、
黒豆・玄米たっぷりの手作りのお茶、最高においしかったです。

エコビレッジ体験塾代表・伊藤さんありがとうございました。

 
※1)エコビレッジとは、自然と寄り添い生き方とエコビレッジライフを体験するところです。



2016年9月20日火曜日

オプタテシケ山

9時を目標に5時札幌出発。いい感じに到着。

望岳台か美瑛富士登山口か直前まで悩んで、結局涸沢林道ゲート前にきた。
青年の家から先は、台風の影響なのか美瑛富士登山者以外は通行止めになっていた。
ゲートを開けて登山口手前まで車で行くと、狭い駐車スペースはほぼ満杯。

初日は美瑛富士避難小屋迄の予定。
山と高原地図のコースタイムより早く(4時間30分の所を3時間40分)、
避難小屋に到着。
しばらく考えたが山小屋を満喫したい気持ちが勝り、美瑛富士・美瑛岳には登らずこの日は終了にした。


小屋の中で小一時間ボーッとしていると、一人泊まり装備の人がやって来る。しかし、「これから帰らなければならなくなった。飲み物を貰ってくれませんか?」とのこと。黒ラベル・ワンカップ・水を頂戴し、食べ物は丁重に御断りする。

もう何もする事がないし、お酒を頂いても良かったが、結局ハーブティーを飲んでオプタテに備えた。

15:00過ぎに寝床の準備開始。入口付近の隙間を塞ぎ、カーテンの様にツェルトを下げて、冷たい風から風から身を守る。シュラフマットの下にはエマージェンシーシートを敷く。このシートはボロボロだけど、狭薄山のときに命を守ってくれたので捨てられないやつ。いつも一緒。
更に冬用シュラフ、シュラフカバー、靴下2枚重ね、ダウン・フリース・ニット帽をつけても寒かった。夜は10℃。

16:00頃には夕食。カレー、α米、ウィンナーとカルパスを焼いて食べる。おいしくて感動。

17:00、もう誰も来ないと分かりさっさと寝る。
本も何もない。当然だが眠れず空を見上げると北極星発見。



何度か外に出るとこの景色。ずっとガスっていたのに美しい日の入り。



2日目
歌を歌ったりして気持ちを盛り上げるが寒いのと神経が高ぶっているのと、板の間が慣れず体が休まらないのとで結局眠れず。明け方2時間ほど寝て5:00起床。
温度計は3℃、寒い。雪じゃなくてホッ。
お汁粉とα米のワカメごはん、なめこの味噌汁で身体を温めていざ、オプタテシケへ。



途中までガスガス。
寒いのでバラクラバ・ニット帽で防寒。北斜面に霜がつき、冷たい風が吹き上がってくる。




ベベツ岳の辺りで晴れてきた。




快晴の中登頂。
山と高原地図のコースタイム避難小屋〜オプタテ往復5時間40分、実際のタイムは5時間でした。

歩いてきた美瑛岳方面、美瑛岳・美瑛富士・石垣山・ベベツ岳。大雪山方面もばっちり見えた。

総行動時間10.5時間、総移動距離24km。

長かったー。